1.之のお庭へ来て見れば、 ※小金小草さが足にからまる。※ ※印間繰り返す
2.京から下る唐絵の屏風、 ※ 一 六さらりと引き廻された。※ ※印間繰り返す
3.この宮は何たる番匠が建てたやら、 四方四面にくさびが一つで
あまり高さが立ちすぎて、 落ちる木の葉が軒に止まらぬ。
これのおせどのしだれ柳、 一と枝たぐめて腰を休める。
4.白鷺が金(かね)をくわえて八つ連れて、之のおせどのみくらぎに棲む。
みくらぎの枝は幾何と眺むれば、 枝は九つ花は十六。
十六の花に小金がなり下がり、 之のおせどは名所なるもの。
5.鎌倉の由比ガ浜の浜千鳥、 ※波にゆられて羽音たてた。※ ※印間繰り返す
6.思ひもよらぬ朝霧が降りて、 ※此処で牝獅子(めじし)がかくされたよな。※ ※印間繰り返す
7.何んぼ牝獅子(めじし)がかくされても、 ※何時か一度は廻り合うよな。※※印間繰り返す
8.嬉しやな風に霞が吹き上げて、 ※牝獅子(めじし)牡獅子(おじし)が肩をならべた。※ ※印間繰り返す
9.奥山の松にからまる蔦の根も、 ※緑が尽きればほろりほごれる。※ ※印間繰り返す
10.山雀が山にはなれて八つ連れて、 ※之のお庭に羽を休める。※ ※印間繰り返す
11.こうつ竹に今年小次郎がういまだれて、 ※今は若竹で節が揃わぬ。※ ※印間繰り返す
12.鹿島から切節習へと状が来て、 ※習らい申すよ鹿島切節。※ ※印間繰り返す
13.日は暮れる道の根笹に露がいる、 ※お暇(いとま)申していざ帰ろうかな。※ ※印間繰り返す